備忘録

レポ、感想はニュアンスで書いています。間違っていることもあります。

リモート配信演劇というもの

舞台公演が行われなくなってからもう1,2ヶ月経っている。
そして稽古や準備の関係のためか、すでに中止や延期が決まっているものが1,2ヶ月続く。

そんな情勢の中でリモート演劇というものが始まっていることは噂に聞いていて、とうとう推しも出ることになったので見ることにした。

過去作品のダイジェストはこんな感じらしい↓


今回見たのはコメディのショートショート5話立ての物語。
開幕から5分以上押したり音が聞こえなかったり、5話目では1人完全に接続が切れてしまったらしくやり直すというリモートならでは?のトラブルも多々ありながら無事に最後まで見ることができた。

画質や音質は、まあこんなものかなという感じ。
完全にトラブルで止まる以外では基本的に動きも音もストレスを感じるものではなかった。
ただ物語の展開に合わせて姿が小さくなったり画面にエフェクトがかかったりがタイミングずれてるなんてことがあって、そこは稽古もう少しあったらよかったなって思った。(稽古はリモートで行った1回だけらしい)
目線が台本にあったり目の前にあるPC画面にいったりカメラ目線になったり画面上で掛け合いの相手と向き合うようになったり、とにかく稽古でそこしっかり打ち合わせてればもっと良いのにな〜ってのは多かった。

劇後は演者3人で軽くトークしてから、チケット買った演者の個人のトークルームへ。
チャット機能を使っておしゃべり?っぽくしつつ(隣の部屋にいるらしい他の人の声がわりと聞こえる)そのまま終了〜という流れ。

トークの中で「汗だくになった衣装を2部(役が入れ替わる)で別の人が着る」という話をしていたけど、このご時世それは大丈夫なのか…?と心配になった。まあよっぽど感染してないだろうから大丈夫だと思うけど。


もともと演劇×ICTには興味が強い方なので今回のリモート演劇、配信演劇はまだまだ進化してほしいと思っている。

私の認識として
リモート演劇…演者やスタッフ同士が離れた場所にいる
配信演劇…公演をオンラインで配信する
と捉えているんだけど、コロナウイルスの心配が無くなった世界でなら、リモート演劇を観客が集合して見たっていいし、演者スタッフが集まってやっている公演を配信したっていいわけだ。

例えば、昔あった「ダブルブッキング!」*1って舞台みたいに、演者がそれぞれ別の場所で演技をしてそれを観客が見るスタイルとか。劇場Aは過去の時間軸で劇場Bは現在で、場面によって切り替わる映像を観客は映画みたいに見るとか。
あとは配信の強みを活かして、大掛かりな舞台装置が無くても映像や合成を駆使して見せるとか。

ただどうしても欠点として感じてしまうのは、見ている時に「自分も物語の中にいる」という没入感が味わえないこと。
私が舞台で楽しんでいるのは「リアルタイム性」「演者と観客の相互作用」「唯一性(今しか見れない)」「物語へ参加している感覚」みたいなもので。
リモート配信演劇ではそれらを楽しめないんだよなあ。
でもね、ここで大事なのは「私が楽しめない」じゃなくて「この試みを楽しいと感じる人がいる」ということなのですよ。
演劇の新たな可能性という意味では非常に有意義なものであり、私のような従来の顧客とはまた違う客層を取り込めるかもしれないのですよ。
一度作ったプラットフォームを捨てるのは惜しいじゃないですか。
だから劇場公演が復活した後でもリモート配信演劇は続けばいいんですよ。両者は同時に存在することができますから。
ただそれを私が見るかどうかは別問題ってだけ。

*1:3つの劇場で同時進行される物語で、役者は3つの劇場を行き来する