備忘録

レポ、感想はニュアンスで書いています。間違っていることもあります。

映画「最果てリストランテ」を見てきた

愛知県でも上映してくれるというので見に行ってきた。

劇場はシネマスコーレ。名前は聞いたことあるけど行くのは初めての映画館だった。
当日朝から整理券を販売している形式だと聞いたので、とりあえずお昼過ぎに行って整理券だけ先に買った。7番だった。

三途の川を渡る前、最後の晩餐をとるリストランテでのお話。
村井さんはリストランテで働く岬という青年役だった。
物語はリストランテを訪れる人々の物語を描く短編の連続のような形で、その中で料理人のハンと岬のことも少しずつ触れられていく。

死を描いた映画なのに、悲しい映画ではなく希望のある幸せな口当たりの映画だった。
残された人たちの話ではなく死にゆく人の話だったから、死んだことを後悔するどころか肯定する流れすらあった。

死因を聞かれて「トラックに轢かれたわ」とあっけらかんに言ったり、娘を交通事故で亡くして後を追うように自殺した母親はリストランテで娘と再会できたことを喜んでいたり。妹を思ってヤクザを抜けようとして殺された兄に向って妹が言った台詞が「私のために死なないでよ」ではなく「バカみたい」なのも、良かった。

こんな感じでひたすらほっこりした流れが続いてはいたけれど、それでも死んだ人がかつて大切な人に先立たれた思い出を当人に語るところは普通の悲しい映画と同じであるので泣いていた。ただその後の後味の悪さはないから、すっきりと彼らの旅立ちを見ることができる。

途中であったお笑い芸人の漫才は普通に面白くて笑いたかったけど他の観客が笑ってなかったので声を出さずに笑ってた。「その先をヨーソローで」(笑)

物語の合間に挟まれる名言みたいなのも好き。「食事のおいしさは、何を食べたかではなく、誰と食べたかで決まる」みたいなの(うろ覚え)。

 

久しぶりにボロボロ泣けたし素敵な映画だったなあって思ったけど、ひとつすっきりしない点は、岬くんのその後。

ずっと「僕たちは何者なんだろう」と言っていたハンと岬。きっとそのうち2人のことを知っている人が現れるんだろうと思ってみていて、実際ハンにはかつての恋人が現れて、そのまま2人でリストランテを出て行った。そしてこの物語はここで終わる。

あれ、岬くんは?何者だったの?

ハンが去るときに「代わりの者が来るんだろうか…」みたいな話してたけど、もしも誰も来なかったら、岬くんは1人でずっとあのリストランテに居続けるんだろうか。
耐えきれずに1人でリストランテを出てしまったりするんだろうか。岬くんと一緒に出て行ってくれる人がすぐに現れるんだろうか。

何らかの形であの後を描いてほしい。